忘れないこと

私は先生が好きだった。過去形にしていいのかわからないけど、やっと最近、過去形にできるようになった気がする。

中2ぐらいからずっと彼のことが好きだった。国語の先生で、私の1つ上の子供がいた。彼は私が初めて、両親以外で好きだと思えた大人だった。尊敬できる、目標にできる大人だった。そんな大人がいつしか好きな人になっていた。
好きと好きの違いってなんだ、彼に対する思いってなんだ と散々悩んだこともあったし、今でも好きの違いはよくわからない。だけど彼はちゃんと好きだった。尊敬できる大人 という認識に変わった今だからこそわかる。

彼は単純に尊敬し、目標にできる存在になった。好きだった過去を、大切にしたいと思えるようになった。大学決まったよ と早く連絡したい気持ちはあるけど、それはたぶん成長したのを知ってほしかったり、承認欲求みたいなもの。
少し前は諦めようともがいていたのに、いざ気持ちが変わってしまうと少し寂しい。

彼は中学校を卒業する私に -誰よりも深く考えることができる力を今のうちに伸ばせるだせ伸ばしおけ- と言った。それから4年が過ぎようとしている。深く考えられる力は、変な方向に伸びてしまったみたいだ。彼は、彼の言葉たちはたくさんの変化をくれた。それでも彼が求めている人には少しも近づけていないし、まだ近づけそうにない。

よく彼にもらったたくさんの言葉たちを思い返す。何度も私を救ってくれて、変えてくれた言葉たち。その言葉たちは、きっとこれから私をいい方向に変えてくれる、変える原動力になってくれる。
変わってしまうことは少し寂しいことだけど、悪いことばかりじゃないね。

忘れちゃいけない、過去も、過去になってしまう今のことも、今考える未来のことも。